KamaKraft
極楽寺の山陰。
湿気と闘った職人の7日間
Seven Days in Gokurakuji

極楽寺の山陰。湿気と闘った職人の7日間

日当たりの悪い山陰に挑んだ、職人たちの工事記録

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鎌倉職人

鎌倉職人のしおり

日当たりが悪く、毎年梅雨になるとウッドデッキがカビだらけになるという極楽寺の鶴田さんからの相談。湿気がたまりやすい山陰の環境は、普通の木材にとって最も過酷な条件だ。今回は実際の工事日誌をそのまま公開する。湿気に負けない頑強なデッキをどう築いたのか、その 7日間の記録を参考にしてほしい。

極楽寺の坂の上、湿気との闘い。

極楽寺駅から細い坂道をのぼり、切り通しの緑に包まれた奥まった一角に鶴田さんの家はある。古い静かな佇まいの一軒家だが、山陰という地形の都合上、どうしても直射日光が当たる時間が短く、庭は年間を通してじめじめとした湿気に覆われていた。

「以前、別のところで組んでもらったスギのデッキは、わずか5年でカビとシロアリにやられて腐ってしまった」と鶴田さんは語る。もう庭のウッドデッキは諦めようかとも思ったそうだ。

木材にとっては最悪の条件が揃ったこの場所で、俺たちはどうやって30年戦えるデッキを築くのか。ここに、現場の職人が克明に記録した7日間の工事日誌を書き残す。

職人日誌で辿る、克服の軌跡

The 7-Day Construction Log

1
第1日目:調査と搬入

狭路を踏破し、人力で運ぶ「鉄の木」

極楽寺の狭い階段と搬入を待つウリンの木材

極楽寺の古い路地は、軽トラックすら入ることができない。幅の狭い階段と坂道を、重いウリンの束を肩に担いで一本ずつ運ぶ。水に沈むほどの超高密度なウリンは、普通の木の倍近い重量がある。搬入だけで職人の体力が削られていく。同時に現場の土壌をチェック。水分を含んだ土からは、強い湿気の匂いが立ち込めていた。まずは地盤をしっかり乾燥させ、整地することから始める。

2
第2日目:解体と整地

カビに蝕まれた杉デッキの撤去と土壌改良

5年で朽ち果てた古いスギのデッキを解体する。根太はスカスカに腐り、少し力を入れるだけで崩れてしまう。床板の裏側はびっしりとカビの胞子で覆われていた。腐食した古い木材をすべて撤去し、土壌の表面に砂利と砕石を敷き詰める。こうすることで、地面からの水分の蒸発を防ぎ、床下に余計な湿気を溜め込まないための地盤の基礎を整える。

3
第3日目:基礎工事

山からの染み出し水を避ける、高めの束石配置

山からの染み出し水を避けるため、高めに配置されたコンクリート束石とウリンの束柱

極楽寺の山の斜面からは、雨の後もじわじわと地下水が染み出してくる。通常の高さの束石では床下が水浸しになりかねない。今回は特注の少し高さがあるコンクリート束石を使用し、地面からデッキ底面までの高さを確保する。床下の風通し(クリアランス)を十分に取ることで、空気の循環を促し、湿気が一箇所に停滞するのを物理的に防ぐ設計だ。

4
第4日目:骨組みの構築

一番湿気を吸う床下にこそ、本ウリンの強さを

大引きと根太を組む。見えなくなる床下の骨組みこそ、最も水に晒される過酷な部分だ。ここを安い防腐木材や樹脂で済ませては意味がない。すべて本ウリンを使用し、がっしりと強固な格子を組み上げる。非多孔質の組織を持つウリンは、湿気を含んだ床下の空気に何十年晒されようと、内部まで腐食が侵入することはない。まさに土台の要だ。

5
第5日目:床板の敷設

空気の流れを作る、1.5ミリの緻密な目地

いよいよ天板の敷設に入る。木材は乾燥と湿潤でわずかに収縮するため、板と板の間に「1.5ミリ」の隙間を均一に設けて固定する。この僅かな隙間が、雨水の逃げ道となり、さらに床下と地上の空気を循環させる換気口の役割を果たす。隙間が広すぎるとゴミが溜まり、狭すぎると湿気が抜けない。職人の目と手の感覚で、一枚ずつ平滑に敷き並べていく。

6
第6日目:仕上げ

裸足の安全を守る、一本ずつの皿取りビス加工

床板を固定するステンレスビスを打ち込む。ウリンは非常に硬いため、あらかじめ超硬ドリルで下穴を開け、ビスの頭が木肌と完全に平らになるよう「皿取り加工」を施す。一本ずつ指先で段差がないかを確かめながらの作業だ。最後にデッキ全体をサンダーで滑らかに研磨する。日当たりの悪い山陰にあって、職人の手で磨かれたウリンの赤褐色が鈍く艶やかな輝きを放ち始めた。

7
第7日目:引き渡しと結び

極楽寺の山陰に馴染む、新しい「時の特等席」

工事がすべて完了し、鶴田さんへ引き渡す。新しく出来上がったデッキの上に小さなテーブルを出し、鶴田さんが丁寧に淹れてくれたコーヒーをご馳走になった。山の涼しい風が、デッキの隙間をすり抜けて心地よく流れる。日当たりは良くない。けれど、静寂と豊かな緑に包まれたこの場所は、これから年月を経て美しいシルバーグレーへと変化し、周囲の極楽寺の景色に溶け込んでいくはずだ。やり直しのない、新しい暮らしの始まりを見届けた。

鎌倉職人

鎌倉職人のおさらい

鶴田さんの現場で改めて証明されたのは、日当たりの悪い湿潤地こそ、素材の選択と床下の通気設計に妥協してはいけないということだ。砕石と高めの束石で湿気の逃げ道を作り、非多孔質の本ウリンで骨組みから張ることで、カビや腐食に怯える必要のない庭が生まれる。極楽寺の景色に溶け込んでいくシルバーグレーの変化を、鶴田さんと共に楽しみにしているよ。

Durability BG

100年後も愛される、
長く使うという贅沢。

私たちの家具が長く使えることを大切にするのは、ウリンという素材が持つ長い時間感覚に裏打ちされているからです。

使い捨ての消費文化から脱却し、世代を超えて受け継がれる価値を持つ家具。KamaKraftは、大自然の恩恵である「鉄の木」を、丁寧な工芸技術によってあなたの日常へと繋ぎます。

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公開日 2026.06.25カテゴリー: 現場レポート